ビタミン様物質であるイノシトール、コリン。
リン脂質と呼ばれる脂質の一種であるレシチン。
この三つの成分には深い関係があります。
それは、コリンとイノシトールが結合してレシチンができるということ。
それではそれぞれどのような効果があるのでしょうか。
どのような食品から摂取できるのでしょうか。
わかりやすく整理してみたいと思います。
イノシトールは血液から精神面まで幅広く働くビタミン様物質
イノシトールは糖アルコールの一種で、
ビタミンのような働きをすることから、ビタミン様物質と呼ばれています。
主な効果は以下のとおりです。
- 脂肪肝などの生活習慣病を予防
- 血液中のコレステロール値を低下
- 神経機能を正常化
- 髪の毛の健康を増進
脳の健康に働くことから、発毛や育毛などの効果も見られるといわれています。
また、最近では精神面でのバランスを保つ働きのあるセロトニンの異常によって
引き起こされるパニック障害や強迫性障害などにも有効だと報告されています。
ビタミン様物質のコリンはイノシトールといっしょにレシチンに
コリンも同じくビタミン様物質で、以下のような働きがあります。
- 鎮静効果、記憶力を高めるなど、神経細胞の働きを補助し脳の機能を維持
- 血管を拡張させ、血圧を下げる
- 脂肪肝や動脈硬化を予防
コリンは、イノシトールと結合してレシチンというリン脂質になります。
リン脂質とは、神経細胞の膜に多く含まれる成分です。
なお、コリンはレバーをはじめ、卵や大豆、サツマイモやトウモロコシなどに多く含まれています。
レシチンにはイノシトールとコリンが豊富
レシチンは、コリンとイノシトールが結合したものなので、ノシトールとコリンが多く含まれています。
レシチンは、人間の体の細胞膜を構成し、神経伝達物質であるアセチルコリンの材料になります。
したがって、レシチンの効果は以下の通りとなります。
- 睡眠や学習など脳の機能に関わる
- 脳の病気の予防
- 脂質の代謝を促すことで、肝臓を守る
- 血中の悪玉コレステロールを減らし、善玉コレステロールを増やす
納豆には3つの成分が含まれています
レシチンが多く含まれる食品といえば大豆製品。
中でも納豆はスーパーなどで購入しやすく、摂取しやすい食材です。
つまり、レシチンを摂取することで、イノシトールやコリンも摂取できることになります。
もっとも効率の良い食べ方は、納豆に卵をかける方法。
レシチンを大きく分けると…
- 大豆レシチン(動脈硬化や高脂血症、脳梗塞や心筋梗塞などの予防)
- 卵黄レシチン(脳機能の改善)
このふたつに大別されます。
このため、卵かけ納豆によって、大豆レシチンと卵黄レシチンをバランスよく摂ることができます。
納豆の効果についてはこちらの記事もご参考に!
イノシトールとトリプトファンの違いは何?
イノシトールとトリプトファンは成分が異なります。
トリプトファンは必須アミノ酸のひとつです。
乳製品や大豆製品などに含まれていますが、こうした食べ物のたんぱく質に含まれています。
イノシトールはビタミン様物質で、ビタミンのような働きをする成分です。
ですから、イノシトールとトリプトファンの違いは「成分」なのです。
イノシトールが不足するとどのような症状が起こるのでしょうか?
- 肝機能が低下
- 血液中のコレステロール値が上がり、糖尿病などのリスクが増加
- 精神的不安
- 薄毛、抜け毛
イノシトールは、きちんとした食生活を送っていれば、不足することはほとんどないと言われています。
しかし、カフェインはイノシトールを消費するため、コーヒーなどを多く摂取する方は要注意です。
イノシトールが含まれているオススメ食材は?
イノシトールは、穀物類、種実類、果物類など、さまざまな食材に含まれています。
- 穀物類の中では小麦がダントツ
- 種実類ではピーナッツ、アーモンドなど
- 果物類では、オレンジ、スイカ、桃、メロンなど
朝食にパンを食べる方は、パンにピーナツバターを少量つけ、
フルーツを食べるようにすると、しっかりと摂取することができます。
まとめ
イノシトール、コリン、レシチンという3つの成分には似たような働きがあり、
深い関係がることがご理解いただけたと思います。
この3成分を食生活で採り入れるためには…
- ごはんに卵と納豆をかけて
- 好きなおかずと一緒に
- 食後のフルーツをいただく
工夫すれば、毎日、上手に摂り入れることができそうですね。
そして、心と体の健康を維持していきましょう。