便秘を解消し、腸内環境を良くする食物繊維。
現代の日本人の食生活では、不足しがちな栄養素の一つです。
それを補うため、食物繊維が添加されたサプリメント、シリアルなどが人気となっています。
でも、食物繊維って、身体に良いからと、
どれだけ摂っても影響は無いのでしょうか?
一日の上限なくたくさん食べても問題ないのでしょうか?
実は、そうではないのです。
食物繊維の摂り過ぎによって起こる悪影響は、少なからずあります。
今回は、その食物繊維の摂り過ぎによって起こり得る症状を、ご説明します。
食物繊維の必要摂取量と上限
食物繊維が、日常で不足しやすい栄養素ということは、冒頭でお話ししました。
一日に摂取するべき量としては、成人女性で最低17g、
健康を維持するためには20g~25gが目安とされています。
まず、よほど野菜を摂るように心がけているとか、
健康食品の類を取り入れているなどしなければ、
現代の食生活では、最低量の17gを満たすことも難しいものです。
ですから、20gを摂取することは、かなりの努力と工夫が必要となります。
そのため、厚生省の栄養摂取基準では、
食物繊維の摂取上限量を定めてはいません。
ですが、何事も程々が大事。
食物繊維を、必要摂取量から大幅に上回る量を摂取するのは避けるべきです。
どの程度なら、オーバーしても問題ないのかというと、
人間の一日の理想の便の量などから考えて、
総摂取量が40g程度までなら、許容できる範囲とされています。
つまり、20gを基準とするなら、
その倍程度は摂っても問題が無いということですね。
では、食物繊維を摂り過ぎると、身体の中でどんな現象が起こり、
生活する上でどんな害が出るのでしょうか。
それについては、次項でご説明します。
食物繊維の摂り過ぎによる害
便秘
まずは、便秘になりやすくなってしまうということ。
便通改善のために摂っているのに、便秘になるとはどういうこと?と思うでしょう。
これは、2種類ある食物繊維の片方、
不溶性食物繊維によるものなのです。
この不溶性食物繊維は、便の量を増やす役目を持つ成分。
これを摂り過ぎると、便の量が増えすぎてしまうということは想像がつきますよね。
便が増えすぎるとどうなるかというと……、
お尻の穴から出にくくなってしまうのです。
そんな状態にもかかわらず、
便秘を解消しようと食物繊維を摂り続けていると、
詰まったお尻の穴に上からどんどん便が下りてきて、
ますます便が大きく固く積み重なってしまい、重症の便秘になってしまいます。
ミネラルの排出過多
また、食物繊維には、余分な塩分を吸着し、
排出する働きがあると聞いたことはありませんか?
この効果は、過剰でなければ、高血圧やむくみ解消などに役立つ働きです。
ですが、食物繊維の摂り過ぎにより、
塩分の排出のし過ぎとなってしまうと話は別です。
塩分も、摂り過ぎはいけませんが、身体に必要な成分の一つなのです。
ですから、体外に排出され過ぎるとなれば、それは危険な傾向です。
そして、食物繊維によって排出されてしまうのは、塩分だけではありません。
鉄分や亜鉛など、身体にとって欠かせない、他のミネラルまで排出されてしまうのです。
もちろん、通常量の食物繊維では、少々のミネラルの排出はあるものの、
健康に影響のある範囲のことではありません。
あくまで、過剰に摂取した場合のお話ということですね。
まとめ
食物繊維の一日の必要摂取量と上限値、
それを超えて摂り過ぎた場合の身体への影響について、ご説明しました。
通常の食生活を送る上で、
天然の野菜や果物などから摂取する分には、摂り過ぎということはまずありません。
食物繊維を摂ることを目的とした栄養補助食品や
サプリメントを利用すると、かなりの量の食物繊維が簡単に摂れてしまいます。
過剰に摂取してしまっては大変。
先に挙げたような悪影響が出てしまうのです。
便通の改善のために摂取したのに、逆にひどい便秘になってしまっては本末転倒ですよね。
ですから、ここでしっかりと、食物繊維の適正な摂取量を理解して、
便通や腸内環境の改善に役立てられるようにしたいものですね。